埼玉・延床面積140m²の新築戸建住宅。ZEH認証取得を目指される案件で、設計事務所様より省エネ計算をご依頼いただきました。
ご依頼時の状況
当初の外皮仕様で省エネ計算(UA値・外皮平均熱貫流率の算出)を実施したところ、UA値が0.62(地域区分6地域 / 関東平野部)となり、ZEH基準の0.60をぎりぎり超える結果に。BEIも0.78でZEHラインに届くものの、ZEH+水準(BEI 0.75以下)には届きません。
設計者様からは「断熱材を全面的に厚くするのはコストとスペースの両面で厳しい。最小限の追加で外皮性能を改善する方法を試算してほしい」とご依頼いただきました。
BEI試算:熱橋部の追加断熱を組み込んだ場合
そこで弊社からは、外皮全体ではなく「熱橋部」に絞った追加断熱を組み込んだ仕様で外皮性能とBEIを再試算するご提案をしました。具体的には以下の部位を対象としました:
- 床と外壁の取り合い部:基礎断熱の連続性を確保
- 外壁と天井の取り合い部:天井断熱を桁上まで連続させる
- 外壁と間仕切壁の取り合い部:間仕切壁内に断熱補強を追加
- サッシ周り:気流止め+断熱材の隙間処理
これらは「熱橋」と呼ばれる部位で、断熱欠損による熱損失が建物全体の性能を引き下げる大きな要因となります。
試算結果:数値で見る効果
UA値は0.62から0.46へ大幅改善(26%改善)。BEIも0.78→0.61でZEH+水準(BEI 0.75以下)をクリアできる試算結果となりました。建物全体での一次エネルギー消費量も大きく削減され、ZEH適合に余裕を持って到達する数値となりました。
なぜここまで効くのか
UA値の計算では、外皮全体の熱損失量を外皮面積で割って算出します。一般部の断熱を厚くするより、熱橋部の欠損を抑える方が「面積あたりの改善効果」が大きい場合があります。特に基礎・小屋裏・サッシ周りなどの熱橋は、面積比は小さいものの熱貫流率が大きく、全体性能への寄与が無視できません。
ZEH認証への貢献度
本物件では熱橋部の追加断熱だけでUA値を0.16ポイント、BEIを0.17ポイント押し下げる試算結果に。外皮全体の断熱材を厚くする場合と同等の改善効果が、施工面積を絞ることで実現できる試算となりました。
まとめ
外皮全体の断熱強化に頼らず、熱橋部に絞った追加断熱だけでZEH+水準まで届いた事例。住宅の省エネ計算では、外皮性能の評価で「どこに断熱を追加するか」の選定が結果に大きく影響することが分かる案件でした。戸建住宅でZEH認証や上位グレードを狙うケースでは、熱橋対策は効率の良い改善策となります。