コラム 2026.10.27

住宅性能評価書の費用相場はいくら?追加費用や安く抑える方法を解説

住宅性能評価書の費用相場はいくら?追加費用や安く抑える方法を解説

住宅性能評価書を取得すると、住宅の耐震性や省エネ性能などを第三者に評価してもらえます。一方で、設計評価と建設評価では費用が異なり、選択項目の追加や設計変更、再検査などで追加料金が発生する場合もあります。取得を検討する際は、基本料金だけでなく、どのような条件で費用が増えるのか、取得によってどのようなメリットが得られるのかまで確認しておくことが大切です。

当記事では、住宅性能評価書の費用相場、追加費用がかかるケース、取得するメリット、費用を抑える方法を解説します。

1. 住宅性能評価書とは?設計評価と建設評価の2種類

住宅性能評価書は、住宅の性能を第三者機関が評価し、その結果を示す書類です。新築住宅では設計と施工の段階で別々に評価を受けます。ここでは、2種類の評価書の違いを解説します。

1-1. 設計住宅性能評価書は図面をもとに評価する

設計住宅性能評価書は、設計図書をもとに住宅の性能を評価した書類です。登録住宅性能評価機関が、耐震性や省エネ性能などについて、申請された設計内容が基準に適合しているかを確認します。

評価は図面や計算書などを使って行うため、実際の工事現場を確認するものではありません。希望する性能を設計段階で整理し、建築前に第三者の評価を受けられる点が特徴です。設計評価を受けた後、施工段階の建設住宅性能評価へ進むこともできます。

出典:日本建築センター「新築住宅 住宅性能表示制度」

1-2. 建設住宅性能評価書は現場検査をもとに評価する

建設住宅性能評価書は、工事中と完成時の現場検査をもとに住宅の性能を評価した書類です。登録住宅性能評価機関が現場を確認し、設計住宅性能評価を受けた内容に沿って施工されているかを検査します。

新築住宅では、基礎や躯体など完成後には確認しにくい部分も工事の途中で検査します。必要な現場検査を終え、住宅の施工状況が評価されると建設住宅性能評価書が交付されます。図面だけでなく、実際の施工まで第三者に確認してもらえる点が特徴です。

出典:日本建築センター「新築住宅 住宅性能表示制度」

2. 住宅性能評価書の費用相場

住宅性能評価書の料金は全国一律ではなく、評価機関や住宅の広さ、評価項目によって異なります。ここでは、一戸建て住宅を目安に、設計評価と建設評価の費用相場を解説します。

2-1. 設計住宅性能評価の費用相場

設計住宅性能評価の費用は、一般的な一戸建て住宅で4万~7万円台が目安です。延べ面積200m2以下の住宅では、必須項目のみの評価で4万円台後半から7万円台前半に設定されている例があります。評価機関によって料金に差があるため、同じ条件でも金額は一律ではありません。

床面積が大きい住宅や選択項目を追加する場合は、基本料金に加算されることがあります。別の審査と併せて申し込むかどうかでも料金体系が変わる場合があります。ここで示した金額は評価機関へ支払う審査料金の目安で、設計事務所や住宅会社へ申請代行を依頼する費用は含みません。申し込み前に料金表と見積もりを確認しましょう。

2-2. 建設住宅性能評価の費用相場

建設住宅性能評価の費用は、一般的な一戸建て住宅で9万~11万円前後が目安です。延べ面積200m2以下の住宅では、9万円台から10万円台前半に設定している評価機関が複数あります。設計評価より高くなりやすいのは、書類の確認だけでなく、工事中や完成時に現場検査を行うためです。

ただし、建築確認を同じ機関へ申し込んでいるか、住宅の所在地が遠隔地かといった条件で料金が変わる場合があります。所定の検査回数を超えた追加検査や、是正後の再検査が必要になると、別途料金が発生することもあります。基本料金だけで判断せず、現場検査の回数や追加料金の条件まで事前に確認しておきましょう。

2-3. 設計評価と建設評価を両方取得する場合の費用相場

設計評価と建設評価を両方取得する場合、一般的な一戸建て住宅では合計14万~18万円前後が目安です。延べ面積200m2以下の料金例を合計すると、設計評価が4万~7万円台、建設評価が9万~11万円前後となるため、この程度の範囲に収まるケースが多く見られます。

ただし、選択項目の追加や設計変更、再検査、遠隔地での検査などがあると、合計額はさらに増える可能性があります。また、評価機関によっては建築確認や長期優良住宅などを同時に申請する場合に料金体系が変わります。予算を立てる際は、設計評価と建設評価の基本料金に加え、追加費用が発生する条件まで事前に確認しておくと安心です。

3. 住宅性能評価書で追加費用が発生するケース

住宅性能評価書は、申請内容や検査状況によって基本料金以外の費用が発生する場合があります。ここでは、追加費用がかかりやすい5つのケースを解説します。

3-1. 選択項目を追加する場合

選択項目を追加すると、評価機関によっては基本料金に追加費用がかかります。住宅性能表示制度では、必須分野のほかに、火災時の安全や空気環境、音環境、高齢者等への配慮、防犯などの選択分野があります。料金設定は評価機関ごとに異なり、選択分野を含めると一律に加算する機関もあれば、項目数に関係なく同額とする機関もあります。必要性の低い項目まで追加すると費用が増える場合があるため、確認したい性能を整理してから申請しましょう。

3-2. 設計変更で変更評価を申請する場合

設計住宅性能評価を受けた後に設計内容を変更すると、変更評価の申請に追加費用がかかる場合があります。変更内容によっては、変更した評価項目について再度審査を受ける必要があるためです。評価機関によっては、誤記の訂正と性能に関わる変更で料金を分けています。構造や省エネ性能などの変更では、評価項目ごとに料金を設定する例もあります。申請後の変更を減らすため、希望する等級や設備仕様を設計段階でできるだけ固めておきましょう。

3-3. 再検査や規定回数を超える検査を受ける場合

建設住宅性能評価で再検査や追加の現場検査が必要になると、別途料金が発生する場合があります。たとえば、検査で確認事項が見つかり、是正後の状態をもう一度現場で確認する場合などです。評価機関によっては、再検査1回ごとの料金を定めています。また、通常の検査回数を超えて確認が必要になった場合や、遠隔地への出張が必要な場合に費用が加算されることもあります。建設評価を申し込む際は、基本料金に含まれる検査回数と追加料金の条件を確認しましょう。

3-4. 申請手続きを設計事務所などに代行依頼する場合

住宅性能評価の申請を設計事務所や住宅会社などに代行してもらう場合は、評価機関へ支払う料金とは別に費用がかかることがあります。申請には、設計内容説明書や図面、計算書などをそろえる作業が必要です。代行費用は制度で一律に決められておらず、依頼先や作業範囲によって異なります。住宅会社の契約内容に申請業務が含まれている場合もあるため、別料金なのかを事前に確認しましょう。見積もりでは、評価料金と申請代行費を分けて確認すると把握しやすくなります。

3-5. 高い等級を取得するために仕様を見直す場合

高い耐震等級や断熱等性能等級などを目指す場合は、住宅の仕様を見直すことで建築費が増えることがあります。評価書の料金が上がるというより、希望する等級を満たすための工事や材料に追加費用が必要になるケースです。たとえば、耐震性能を高めるために構造を補強したり、断熱性能を高めるために断熱材や窓の仕様を変更したりする場合があります。必要な変更内容と費用は住宅ごとに異なるため、目標とする等級を早めに決め、設計者や住宅会社に見積もりを確認しましょう。

4. 住宅性能評価書の費用に見合うメリット

住宅性能評価書は取得費用がかかる一方、保険料や住宅ローン、税制、トラブル対応で役立つ場合があります。ここでは、費用に見合う主な4つのメリットを解説します。

4-1. 耐震等級に応じて地震保険料が割引される

住宅性能評価書で耐震等級を確認できる住宅は、地震保険の耐震等級割引を受けられる場合があります。割引率は耐震等級1で10%、等級2で30%、等級3で50%です。耐震性能が高いほど、保険料の負担を抑えやすくなります。ただし、割引を受けるには耐震等級を証明する所定の確認資料を保険会社へ提出する必要があります。また、免震建築物割引や建築年割引など、ほかの地震保険の割引との重複適用はできません。契約前に適用条件を確認しましょう。

出典:日本損害保険協会「地震保険の保険料の割引制度について教えてください。」

4-2. 住宅ローンの金利優遇を受けやすくなる

一定の省エネ性や耐震性などを満たす住宅は、住宅ローンの金利優遇を受けられる場合があります。代表例の「フラット35S」では、所定の技術基準を満たす住宅について、借入金利を一定期間引き下げる仕組みがあります。住宅性能評価書を取得しただけで優遇が決まるわけではなく、利用する制度の基準を満たすことが必要です。一定の等級を満たす住宅性能評価書は、フラット35の物件検査手続に活用できる場合もあります。利用条件を事前に確認しましょう。

出典:住宅金融支援機構「【フラット35】S」

4-3. 贈与税の非課税枠拡大の証明に使える

一定の性能を満たす住宅では、住宅取得等資金の贈与税について非課税限度額が大きくなる場合があります。2026年12月31日までの贈与では、省エネ等住宅は1,000万円、それ以外の住宅は500万円が非課税限度額です。省エネ等住宅であることは、建設住宅性能評価書の写しなど、所定の書類で証明できます。ただし、評価書があれば必ず対象になるわけではなく、省エネ性能や耐震性能などの基準を満たす必要があります。贈与を受ける前に適用要件を確認しましょう。

出典:国税庁「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」

出典:国税庁「住宅取得等資金の非課税」

4-4. 建設住宅性能評価書があれば紛争処理機関を利用できる

建設住宅性能評価書が交付された住宅は、請負契約や売買契約をめぐるトラブルが生じた際に、指定住宅紛争処理機関を利用できます。弁護士や建築士などの専門家が関わり、あっせん・調停・仲裁による解決を図る制度です。申請手数料は原則1万円で、通常は現地調査費などの追加費用もかかりません。対象となるのは建設住宅性能評価書が交付された「評価住宅」であり、設計住宅性能評価書だけでは利用できません。万一のトラブルに備えられる点もメリットです。

出典:公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター「住宅紛争審査会のご案内」

5. 住宅性能評価書の費用を抑えるポイント

住宅性能評価書の費用は、評価機関や申請方法を選ぶことで抑えられる場合があります。ここでは、料金の比較や申請のまとめ方など、費用負担を減らす4つのポイントを解説します。

5-1. 複数の評価機関の料金表を比較する

住宅性能評価の料金は評価機関ごとに異なるため、申請前に複数の料金表を比較しましょう。同じ床面積の一戸建てでも、設計評価や建設評価の基本料金、選択項目の加算方法、再検査の料金などには差があります。

比較するときは、基本料金だけでなく、必要な評価項目や現場検査、出張費まで含めた総額を見ることが大切です。住宅の条件をそろえて見積もりを依頼すると、費用を比較しやすくなります。料金だけで決めず、対応地域や申請方法、審査日数なども確認して、自分の計画に合う評価機関を選びましょう。

5-2. 選択項目は必要なものに絞る

選択項目は、住宅で確認したい性能に絞ると追加費用を抑えやすくなります。住宅性能表示制度では、必須分野のほかに、火災時の安全や空気環境、音環境、高齢者等への配慮、防犯などの選択分野があります。

評価機関によっては、選択分野を含めると基本料金に追加料金がかかります。ただし、料金体系は機関ごとに異なり、選択項目を増やしても料金が変わらない場合もあります。必要性を確認せずに項目を増やすのではなく、保険や住宅ローンなど利用したい制度も踏まえて、申請する項目を決めましょう。

5-3. 瑕疵保険や長期優良住宅の審査とまとめて依頼する

瑕疵保険や長期優良住宅に関する審査を同じ機関へまとめて依頼すると、費用を抑えられる場合があります。評価機関によっては、住宅性能評価との同時申請や併願に対して、料金の減額や審査書類の一部省略を設けています。

たとえば、住宅瑕疵保険と建設住宅性能評価を同時に申し込むことで、保険料や検査料が割引される例があります。長期使用構造等の確認でも、設計住宅性能評価との併願で料金が減額される機関があります。利用する制度が複数ある場合は、別々に申し込む前に併願料金の有無を確認しましょう。

5-4. 設計の早い段階で取得を決めて変更申請を減らす

住宅性能評価を取得する方針は設計の早い段階で決め、申請後の設計変更をできるだけ減らしましょう。評価書の交付後に性能へ関わる設計を変更すると、変更評価の申請が必要になり、追加料金がかかる場合があります。

耐震等級や断熱等性能等級など、希望する性能を後から引き上げると、図面や計算の見直しだけでなく、仕様変更が必要になることもあります。目標とする等級や利用予定の優遇制度を設計者と早めに共有し、申請前に内容を固めておくと、変更評価に伴う余計な費用を避けやすくなります。

まとめ

住宅性能評価書の費用は、一般的な一戸建て住宅の場合、設計評価で4万~7万円台、建設評価で9万~11万円前後が目安です。両方を取得する場合は14万~18万円前後を見込んでおくとよいでしょう。ただし、選択項目の追加や設計変更、再検査、申請代行などで追加費用が発生する場合があります。

費用を抑えるには、複数の評価機関を比較し、必要な評価項目を整理した上で、併願制度や同時申請も確認することが大切です。取得による保険料や住宅ローン、税制面のメリットも踏まえて判断しましょう。