【女医が教える】「生理痛に温活は無効」「鎮痛薬は痛くなる前に飲め」/意外と知らない女性なら知っておきたい生理のコト

毎月憂うつになる生理のお悩みや婦人科系の病気など、女性ならではのカラダのこと、あなたはどれくらい知っていますか? 意外と「なんとなく」しか分かっていないことが多い、女性のカラダにまつわるアレコレを女医の宋美玄先生がレクチャー! 今回は生理にまつわる「基本のき」と誤解しがちな「生理痛あるある」について教えてもらいました!


子宮が収縮するから痛い

「毎月毎月、痛いねん!」。そんなお悩みをもっているのは、あなただけじゃありません。程度や頻度の差はありますが、生理がある女性の7〜8割が生理時の痛みを経験しているといわれています。別に傷があるわけじゃなし、ボコボコ叩かれているわけじゃないし。あのズーンとした痛みは、なんで起こるのか、不思議に思っている人もいますよね。

痛みの原因はというと、「プロスタグランジン」という物質です。子宮から内膜がはがれるときに、このプロスタグランジンが分泌されるんですが、分泌が多ければ多いほど子宮が収縮します。それによって痛みが生じるというメカニズム。プロスタグランジンは、子宮だけじゃなくて全身の血管も収縮させるため、おなか以外にも、頭や腰などが痛くなることもあるんよね。

生理痛に「温活」は無効です

生理の痛みは、願ったって祈ったって、消えるもんではありませんよね? それはわかっていても、「温めれば治る」と思っていたり、聞いたりしたことがある人は多いんじゃないかな。「生理痛は、からだが冷えているから」とか「温めると軽くなる」とか……。生理にかかわらず「すべては冷えのせい」という、まったく根拠のない教えが、あちこちに広まっていませんか?

子宮をカイロで温める? 子宮を温めるツボ? ショウガを食べて生理痛改善? 紙ナプキンが子宮を冷やす? 靴下の重ね履きで生理痛が治る?
「やっぱ、そうだよね」「常識だよね~」と思ったあなた、完全に〝冷えてます信仰〟の餌食になってますぞ。

なぜって、はっきりいって、どれも違いますから!! 温めた経験は、みなさんもあるでしょう。それで気持ちが安らぐことや、一瞬皮膚がぽかぽかすることはあるかもしれへん。でも「温めたら生理痛と完全におさらばできた」なんて経験、まずないでしょ? からだの構造、痛みの仕組みは、そんな単純ではないのです。そして内臓は、そんな簡単に冷えません! 冷たい飲み物で一時的に胃が冷えることはあります。でも、ずっと冷えっぱなしになることはないし、冷えのせいで不調になることもないねん。

子宮が冷えるというのも、本当におかしな話。子宮は、からだの中心部にあって外気の影響を受けないし、温かい血液が流れる太い血管が周りに何本も通っています。人体の中でも冷えにくい臓器なんです。心臓や肺の冷えがあおられることがないのに、なぜ子宮ばかりが冷えるといわれるの? 子宮の温度、誰が計ったの? と、突っこみたくなることばかり。

ちなみに「布ナプキンで生理痛が軽くなった」なんて話があるらしいですが、そんなウソみたいな話、ウソですよ。紙ナプキンだと皮膚かぶれしてしまう人には、いいと思いますが。布ナプキンは、表面が経血でつねに湿った状態です。汗で濡れた服を着続けると冷えて身震いするように、湿った布ナプキンをつけたままでいたら、温まるどころかデリケートゾーンが冷え冷えになってしまいますよ。

 

鎮痛剤は、痛くなる前に飲む!


手を合わせて願っても、温めても治らない生理痛に今すぐ対処したいなら、「鎮痛剤」を飲むことです。

痛みの原因は「プロスタグランジン」という物質が分泌されるためだとお伝えしました。だったら、この物質が出るのを止めてしまえばいいのです。それが、鎮痛剤がなしてくれるスゴワザ。鎮痛剤には、プロスタグランジンの生成を抑える成分が含まれています。そして、もうひとつ知っておいてほしいのが「痛い~」というときには、すでにプロスタグランジンが分泌されているということ。だから、痛くなりそうだな~というとき、つまり「痛くなる前」に飲んだほうが効果的なんよね。「鎮痛剤を飲み続けると効かなくなる」とか「体によくない」なんて噂もあるようですが、そんなことはないです。

そもそも薬は、用法・用量を守って飲めば、からだに害を与えることがないようにつくられていて、そうでなければ販売できません。それに、生理のときに飲むとなれば月数回。年間でも、たかが知れています。「私、薬に頼りません」なんていって痛みに耐えていると、ただつらいだけだし、メンタルも荒れるし。そのほうが、よっぽど心身に悪いと思わへん?もちろん用法・用量を守らないのはご法度だし、なかには眠くなるもの、胃弱の人に適さないものなどもあるから、医師や薬剤師に相談するといいでしょう。

鎮痛剤でも痛みが引かないとか、ひどい痛みの場合は子宮内膜症などの病気の可能性が十分にあり得ます鎮痛剤でしのぐことはせず婦人科へ行ってください。それから、「そこまで痛くない」という場合でも、薬局などで鎮痛剤を手に入れるのではなく、まずは婦人科でみてもらうのがおすすめ。自分では大したことない痛みでも、病気が隠れていることもあります。検査をして自分に合った薬を処方してもらえるし、保険もききますよ。「生理痛くらいで大げさでは?」なんてことはまったくありませんから、安心してくださいね。

 


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