古着・ハンドメイド・リメイクが大好きな編集Oが、オススメのクリエイターを紹介する連載。
今回は、着物生地や国産生地を使ったアクセサリーや服飾雑貨を手掛けるブランド「benium(べにうむ)」のデザイナー・木戸彩也音さんにお話を聞きました。
デザイナー・木戸彩也音さん |
名前 木戸彩也音
年齢 25歳 ※2020年10月24日時点
作っているもの アクセサリー、洋服
活動を始めて 3年目 ※2020年10月24日時点
『 benium(べにうむ) 』
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_どんなアイテムを作っているの?
「“古く使われなくなったものを新しく生まれ変わらせる”というコンセプトで、骨董市やアンティークショップで見つけた着物のはぎれ・生地を使用したバッグやアクセサリーを制作しています。また、2020年の夏からはずっとやりたかった衣服の制作も始めました! “一日、一日のために在る、ここに在ってどこへでもゆける服”をテーマに袖を通すと軽やかな気分になったり、静かに穏やかな気持ちになれる服を目指しています」。
_木戸さんが作る作品の特徴は?
「いちばんこだわっているのは素材感です。beniumのアイテムは、いくつかの生地を組み合わせて1つのものを作ることが多々。光沢感や色合いなどをしっかり見極めて、お互いを引き立て合うような生地をセレクトします。生地を仕入れて使う場合は、国産の天然繊維か再生繊維と決めています。環境に優しいからという面もありますが、それ以上に植物のように土から生まれてきたものが紡ぎ織られて生地になり、それを纏えることに感動とロマンを感じるんです! そんな生地から作った洋服は、ゆったりとした空気を持っていて、見ているだけで優しい気持ちになれます」。
_作品を作り始めたきっかけは?
「私は元々幼い頃からものづくりが大好きで、漠然といつかはものを作ったり表現する仕事がしたい!と思っていました。小学生の頃、“あやねショップ”というお店屋さんごっこをよくしていました。ネイルサロンをしたり、雑誌を作ったり、そのとき興味のあったものを作って、妹をお客さん役にして遊んでいたんです。そのときの好きなものを作り上げるワクワクした気持ちの延長線上にできたのがbeniumです」。
_クリエイターとして活動を始めたきっかけは?
「服飾の専門学生時代に着物にハマったのがきっかけ! 骨董市やアンティークショップを巡り歩いていく中で、キレイなはぎれやほこりをかぶった美しい生地が山積みになって売られているのをよく見掛けていました。着物のような日本独自の素材や色柄の生地を使って、自分と同じくらいの世代の子が洋服と合わせて使えるものを作りたいと思い、雑貨へとリメイクし始め、beniumが誕生しました」。
作品作りについて |
_beniumの定番アイテムって?
「バッグやアクセサリーは着物のはぎれ・古い生地を使用して作っています。定番で人気が高いのは手さげ巾着。巾着型のバッグはコロンとした形のものが可愛くて大好きなのですが、紐を結んだり解いたりして使うのが面倒になってしまいがち。beniumではループタイのパーツを使用しているから、デザイン性も高くて開閉が楽! 洋服、和服、どちらとも相性が良いので、様々な場面で使用できるのも人気の理由かなと思っています」。
_作品作りのアイデアはどのように生み出しているの?
「山や川などの自然や音楽、大好きな写真集、旅で見た風景などからアイデアをもらうことが多いです。例えば写真集。“この女の子が東京に遊びにいくときに持っていくバッグは?” “この写真の中にもう一人女の子がいたとしたらどんな格好をしている?”など、深く想像をしながら浮かんだイメージを描き出し、より使いやすくなるように改善をしていくという流れで作品制作へと移ります」。
_思い入れのある作品は?
「すべての作品にこだわりがあるのですが、特に刺し子という日本で生まれた刺繍のような、布を重ねて縫い合わせた伝統手芸の技法を使ったアクセサリーには深い思い入れがあります。このアイテムを作るきっかけとなったのが、浅草にあったアミューズミュージアムで見た『美しいぼろ布展』です。そこには江戸時代の貧しい農民たちが生き抜くため、麻布を何枚も重ねて糸を刺し防寒性を高めたり、補強・修繕を繰り返し行った生地が展示されていました。色も柄も違う布が使われていたため、パッチワークのようになっていました。デザイン性を高めるためではなく、ただ生きるために紡いでできた布から力強さを感じました。

あのときの気持ちを忘れないよう、現代でも使いやすいようなデザインに変え、ピアスやブローチなどのアイテムに落とし込んで作っています。作るたび、ブランドを作った当時の気持ちに戻れる気がするので、これからも作り続けていきたいです」。
いつも思っていること |
_仕事をする上で、大変だなと思ったことは?
「作品を作ったり、アイデアを形にしたりすることは、好きな大変さなので苦に思ったことはありません。でも、うまく計画を立てられずイベント前に徹夜で作業をするのは体力的にキツく感じることが何度かあるので、計画的に作業をできるようにしたいと思っています!」。
_嬉しい、楽しいと思ったことは?
「たくさん考えて作った作品が思い通りにできたときがいちばん! それをお客さんが手に取って可愛い!と言ってもらえたり、気に入って購入してくれたりすると、beniumをやっていてよかったと心の底から思います」。
_いつも大事にしていることを教えてください!
「制作することへの意欲を絶やさないことです。私は考えたり手を動かしていることが好きで、プライベートな時間でも感情の整理をするために何かを作り出しています。作ることが苦になってしまう方もいると思うのですが、私の場合、無心でミシンや布に向かうことで心がスッキリするんですよね。自分のペースで真摯にものづくりに向き合うことで、ポジティブな気持ちになれると思います!」。
これからについて |
_目標はありますか?
「地方の自然豊かな地に移り住んで、作品制作をしたいです! ザ・おばあちゃんちみたいな田舎に憧れがあって、将来は自然に囲まれて作業ができたらなと考えています。たまに作業場所を開放して、お客さんにはアトリエに来るまでの往復の旅も楽しんでもらえたらいいな~と密かに思っています」。
_最後にメッセージをお願いします!
「人の数だけ性格や性質があるので、一概には言えませんが、私は“好き=気付き”だと思っています。好きなことは一生懸命になって探すのではなく、気が付くと考えていることや、自分が感動してきたこと、ワクワクしたこと、憧れたことやものなどと向き合ってみることが大切だと思います。そこには自分の“好き”のヒントがたくさん詰まっています。それに、思い立ったら即行動! 考えるだけで何も動かないと最初の一歩がどんどん重くなって、踏み出せずに終わってしまうかも…。どんな些細なことでも良いので、まずはちょっぴり試してみるといいと思います!」。
お話を聞いてみて… |
数年前、セレクトショップのポップアップショップで、木戸さんの作ったアイテムを購入したのがbeniumとの出会い。当時SNSに乗せたところ、それを木戸さんが気付いてくださり、今回の取材までずっと覚えてくださっていました。今でもお気に入りで使っているのですが、どんな方が作っていたのか知らず、お会いしたのは今回が初めて。作品作りに対してとても熱くてまっすぐで、性格も明るくて元気をもらいました。ちょっぴり個性的なアイテムが多いですが、今のトレンドのシンプルなコーデにアクセントとして取り入れるのにぴったりだなと思いました! ぜひSNS等チェックしてみてください!(編集O)
【benium(べにうむ)】
Instagram:@benium_o00
HP:benium.net
\information/ ★デザインフェスタ vol.52に出店! ≪日時≫ ≪場所≫ ※イベント内容は変更になる可能性があります。 |
撮影/渡邉まり子
構成・文/大西美音