【憧れの職業密着】夜に開店するベーカリーに密着 ~good sleep baker 小林由美さん~


誰もが憧れるさまざまな職業に密着して、その仕事内容にクローズアップ! ”なりたい自分探し”のヒントにしてもらおうという、この企画。
今回は、夜開店する人気のベーカリーをピックアップ!朝に開くパン屋さんが多い中、夜に焼き立てのパンとクラフトビールを提供しているという「good sleep baker」のオーナー・小林由美さんに密着! 開店に至った経緯や日々のお仕事について、じっくりとお話を伺ってきました。

ベーカリー&ビアパブ オーナー・小林由美さん

【 PROFILE 】

  Name : 小林由美
Age : 35
Career :  4年(2020年10月時点)

  Instagram : good_sleep_baker
Web : http://goodsleepbaker.com/ 

高校卒業後、製菓専門学校で菓子とパン作りを学ぶ。卒業後は音楽活動をする傍ら、さまざまな飲食店で修業を積み、2016年6月に独立。現在のベーカリー&ビアパブを開業する。近年はお店を経営する傍ら、趣味でバンド活動も継続。アパレルブランドとコラボしたアイテムを販売するなど、活躍の場を広げている。

仕事帰りに、翌朝のパンが買えるお店にしたかった

ー“夜のパン屋さん” を始めたきっかけは?
「私の友人にパン好きがいて、彼女がいつも嘆いていたんです。『私たち世代のような働き盛りって、残業して帰宅が20時とかになっちゃうと、もうパン屋さんも閉まってたり、売り切れてて買えないんだよね』と。それを聞いてピンときて、仕事帰りに一杯、ビールを楽しみながら翌朝のパンも買えたら、楽しいだろうなって。それで夜のパン屋さん兼ビアパブとしてオープンしました。」

ー店名とロゴマークの由来は?
「店名の “good sleep baker” は、お客様にとって、good sleep = 快眠できるためのパン屋さんになれればという意味も込めました。ロゴマークには夜のイメージからフクロウを、そこにビールとパンの“麦”もプラスして、お店のコンセプトと縁起(フクロウは苦労知らずの不苦労)を担いでみました。」

 

なるべくして、パン屋さんになった

ーそもそもパンを作ることが好きだったんですか?
「パンというより、子どもの頃からよくお菓子を作ってました。白玉団子やホットケーキなど、お菓子を作ることが楽しくて楽しくて。姉が2人いるんですけど、どちらも専門学校に進んで仕事に就いていたので、私も自然と“将来は製菓の専門学校に進むんだ”って決めてました。
高3の時、クラスメートは大学進学が多くて、担任にも大学に行った方がいいと勧められましたが、『私はやりたいことが決まっているので、専門に行きます!』って断言したくらい(笑)。入学した先が製菓と製パン、どちらも学べる学校だったので、パンも作るようになりました。」

ーお店をオープンされるまで、何度か転職を経験されてるんですね
「専門学校卒業後はフリーターをしていました。そんな時、友人から「福祉施設でパンを作りたいから、手伝ってくれない?」と声をかけられて、障がい者の就労支援施設で5年間、パン作りを教えていました。
教える時はその人の立場に立って、なぜできないのかではなく、どうしたら出来るようになれるかを考えて接していきます。結果が結びつかなかった時は、私の伝え方が足りなかったからだと。これまでの概念を覆されるくらい、多くのことを学んだ時間となりました。この経験から、今でも常に相手のことを考えて物事を伝えたり、行動するようにしています。
その後、自分のパン屋さんを開きたいと、福祉施設を辞めました。自分の思い通りのお店を開いてみたいという気持ちが強くなったのです。そこで、週末に開催されるフードイベントなどに出店してはパンの販売をしてみたり、アジアン料理店やビアパブで修業させてもらいながら、少しずつ準備を始めました。何より心強かったのが、ビアパブのオーナーに開業したいことを話した時『じゃ、今すぐ始めてください』って、お尻を叩き続けてくださったことです。バイトに入る度に『物件見つかりましたか?』と聞かれ、お客様には『この子、今度お店出すんで、よろしくお願いします』と告知してくださって(笑)。もうやらざるを得ない状態にしてもらえたことは、今となってはラッキーだったなと感謝しています。そんな後押しもあって、2016年に開業することができました。」

パンへのこだわり
オープン当初からの看板商品「パクチーベーコン」

ー店内で焼くパンへのこだわりは?
「うちはパンと共にクラフトビールも提供しているので、ビールのおつまみにもなる総菜パンを中心に用意しています。私自身がアジアン料理が好きなこともあって、そんなスパイシーな要素も加えつつ、常時7、8種類は店頭に並ぶように準備します。」

ー新作パンはどうやって創作するんですか?
「他のパン屋さんや雑誌を見たり、買い物に行く時に季節ごとに店頭に並ぶ野菜を見ているうちに、パッと「こういう組み合わせはどうだろう?」とひらめくんです。ヒントを得たらすぐに試作して、店頭に出します。
パン作りはすべて一人でやっているので、少しでも多くの商品を並べるために生地を2種類にして、トッピングや中に巻き込む具材を変えることでレパートリーを増やしています。」

ーこれまでお店をやってきて、楽しかったこととつらかったことを教えてください
「こんなに周囲の人たちとのつながりが強くなるとは正直、思っていませんでした。地域の方々やお店のスタッフ、常連のお客様にどれだけ精神的に助けられているか、分かりません。
つらかったことは、開店してすぐは閑古鳥が鳴いていたこと。正直、これほど暇になるとは想像していなかった甘さもあって、へこみました(笑)。それでもやるしかないと思い、毎日お店を開け続けているうちに、「パンの香りに誘われて」と次第にお客様がついてくださるようになりました。」

私の仕事に必要な ”三種の神器”

小林さんの仕事に絶対必要な道具を教えてください

①「 オーブンにパンを出し入れする際に使う『スリップピール』という木製の取り板です。オーブンのサイズに合わせて、オーダーで作ってもらいました。扱いやすく、作業の効率が良くなるように工夫しました。」

「パン作りには欠かせない『スケール(計量器)』です。お菓子もパンも計量が第一! もし仕込み中に電池が無くなったら、何もできなくなってしまいます……。」

「クラフトビールを冷やすための冷蔵庫に、特製でつけてもらった『ビアサーバー』です。以前、働いていたビアパブのご縁で、同じものを設置してもらいました。このタップ(ハンドル部分)のアクセサリーで愛用しているのが、お店のロゴマークがデザインされたオリジナル品で、常連さんの手作りなんです!」

未来の ”ベイカー”へ

ー最後に将来、小林さんのようにパン屋さんを開きたいという皆さんへ、メッセージをお願いします
「私がここまでこられたのは、ひとえに周囲の皆さんに助けていただいたおかげなんです。これまで働いてきたお店とのご縁で取引先を紹介してもらったり、お店の内装も父の友人に手掛けていただきました。店名もロゴマークも、偶然知り合ったイラストレーターとコピーライターさんが相談に乗ってくださったんです。皆さんにサポートしていただいたおかげで、今年で4周年を迎えることができました。
今でもこうして毎日パンを作り続けられることが楽しいし、たくさん売れればとてもうれしいです(笑)。これからも、もっとスキルアップして新作のパンを作っていきたいですね。皆さんも自分が好きと思うことを大切に、未来に向かって進んでいってください。応援しています。」

『good sleep baker(グッド スリープ ベイカー)』

住所:東京都世田谷区世田谷4-13-20-1-D
☎:050-7128-3201
OPEN : 月~土 16:00~23:00
CLOSE :水曜日、不定休(月末or月初めにインスタグラムにて告知)
Instagram : good_sleep_baker


撮影/渡邉まり子
構成・取材・文/松野実江子.