様々な職業のお仕事内容にクローズアップして、“なりたい自分”のヒントをもらう連載企画第6回目。今回は、“フォトグラファー”をピックアップ。女の子を可愛く撮る!と話題の花盛友里さんにフォトグラファーのお仕事についてたっぷり聞いてきました!
フォトグラファー、そして母として 注目を集める花盛友里さんって? |
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【 P r o f i l e 】 N a m e : 花盛友里 |
写真の専門学校を卒業後、スタジオでのアシスタントを3年経験。その後フリーランスとして活動開始。女の子の寝起き姿を撮りためた『寝起き女子』を始め、モデルや素人の女の子を“ヌード姿”という新しい目線で切り撮った『脱いでみた。』などで話題。今ひっぱりだこの人気のフォトグラファーであり2児の母。
(※)フォトグラファー歴は2019年12月時点
“フォトグラファー”のお仕事 |
フォトグラファーのお仕事…
一般的には雑誌や広告の撮影で知られるお仕事。撮影前の打合せから、撮影後のレタッチ、撮影データの納品まで写真にまつわる業務があります。
ー花盛さんのフォトグラファーとしての普段のお仕事と1日のスケジュールを教えてください。
<1日のスケジュール>
撮影がある日 | 撮影がない日 |
5時半 起床 6時前 朝ごはんを作る 6時過ぎ 子供と朝食 7時半~8時 保育園へお見送り&出勤 8時~ 撮影 夕方 保育園のお迎え 21時半 就寝 |
5時半 起床 6時前 朝ごはんを作る 6時過ぎ 子供と朝食 9時~ 家での作業(レタッチや納品など)や打ち合わせなど 夕方 保育園のお迎え 21時半 就寝 |
「朝は、子供を保育園に送ってからお仕事がスタート。日によって保育園のお迎えギリギリまで撮影をすることもあれば、お昼過ぎに撮影を終えることもあります。撮影がない日はお家で写真のレタッチや納品作業をしたり打ち合わせに出たり。1週間のうちに必ず1日、部屋で作業に集中できる日も作るようにしています。夜は息子たちと一緒に寝ると決めているので、21時半くらいには寝ているかな。土日は基本的にオフにして、家族と一緒に過ごす時間を大切にしています」。
最初はただ写真が好きだった。 とにかく誰よりも撮っていた。 |
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ーフォトグラファーになろうと思ったきっかけは何ですか?
「写真を撮り始めたのは、中学生のときに初めてもらったフィルムカメラがきっかけです。そのときはただ楽しくて、空とかお花、友達といった周りのものや人を撮っていました。当時は現像するまで何が写っているか分からないのも面白かったんですよね。写真を仕事にしようと思ったのは専門学校に入ってからかな」。
ーどのようにしてフォトグラファーになったのですか?
「写真の専門学校を卒業したあと上京し、スタジオで3年間のアシスタントを経て独立しました。当時は、アシスタント後さらに師匠について学ぶのが主流だったから、下積み期間は6年くらいが平均的。私は4年ほどで独立しているので年数だけで見ると割と早かったかなと思います」。
ー専門学校ではどんなことを学びましたか?
「カメラの基礎から、スタジオワークまで写真に関する基本的なことは一通り学びました。でも個人的に一番学んだと感じているのは、人と比較されることと、自分の写真を表現する力。単純に写真を撮る回数が増えたし、学校内外で撮った写真を人に見てもらう機会が多かったので、メンタルが強くなったと思います。当時は今みたいにSNSがなかったから、よく写真の批評会のようなものにも出展していました。あるときそれまで好評だった写真を『全然ダメだ』と評価されたことがあって。今でもすごく覚えているくらいにとても悔しかった! でもそういう経験が成長するためには必要だったのかなって、今は思います。あとは、学校に入って周りに写真をやっている人が増えたこともとても刺激的でした」。
ーフォトグラファーとしてデビューするまで大変だったことは?
「デビューするまでというより、デビューしてから写真で生活していけるまでの3年間くらいが一番きつかったかな~。スタジオでアシスタントをしていた頃、撮りたい写真が分からなくなってしまった時期があって。そんな不安や葛藤を抱えつつ、師匠もいないままにデビューしたから当然最初は仕事もありませんでした。そうして悩んでいる時期に、merの編集者さんに『最近あんまり良くないね』ってズバッと言われてしまって。それをきっかけに『自分の作品をもっと撮らないと!』と積極的に作品を撮るようになりました。その後個展を開いたり、フィルムカメラを再開したり、Instagramも始めたりと自分の写真に向き合って、改めて写真への熱が出てきたというか。その頃からいい方向に変わってきたかなと思います」。
今は毎日がめちゃくちゃ楽しい! どのお仕事も大好きなんです。 |
ーお仕事をされる中でやりがいや楽しさを感じるのはどんな時ですか?
「毎日とても楽しいんです。特に、『良い写真を撮ってくれて、本当にありがとうございます!』ってモデルさんに喜んでもらえたときがほんまに幸せです。現場で楽しく撮れたうえ、自分でも『可愛い!最高!』と納得できる写真が撮れることがベストですね」。
ー逆に仕事について悩んだり、大変さを感じる時は?
「撮影をしていると、現場の雰囲気や企画の内容に引っ張られ過ぎているなと感じることがあります。そういうときは自分の中で意識して方向性を切り替えます。誰でも撮れそうな写真は撮りたくないし、見てて可愛い!って思えないと落ち込むんです。だからちょっと自分らしさが出せていないなと感じたら気持ちをリセットします!」。
ー「花盛さんらしさ」を求められると思いますが、アップデートはどのようにしていますか?
「『脱いでみた。』で素人のモデルさんを撮り続けることは自分自身のアップデートにすごく繋がっていると思います。普段はモデルさんがいて、ヘアメイクさんやスタイリストさん、そしてアシスタントさんと皆で良い作品を作っているけど、それに満足したくないなと。だから、自分の作品撮りのときは素人の女の子と一対一で撮るようにしているんです。モデルさんを可愛く撮ることは誰でもできるけど、普通の女の子を可愛く撮ることに意味があるというか。初めて会う女の子を前にして、ちゃんとその子の可愛い部分を引き出す。インスタ映えの場所で撮るんじゃなくて、自分の写真でインスタ映えを作るつもりで撮っています」。
仕事するときはする! 遊ぶときは遊ぶ! オンオフはしっかり意識しています。 |
ーお仕事とママ業はどのようにして両立していますか?
「オンオフはとても大事にしています。平日はフルで働くけど、金曜日は飲む! 土日は休む!みたいな感じで。平日も夕方以降は仕事を入れないし、お盆や年末年始もしっかり2週間休みをもらったりしますよ。仕事と家族との時間はちゃんと分けています。昔は仕事が終わらなければ夜中にやればいいと思っていたけれど、子供が生まれてからは特にメリハリができました」。
ー社会人として気を付けていることはありますか?
「仕事は早くすることかな。返信を早くするとか写真の納品を期日までにするとか。他にも、挨拶をする、現場の雰囲気を悪くしないといった社会人として必要最低限のことはちゃんとする。これまでに会ってきた素晴らしい人たちって、皆すごく良い人なんです。大御所の人でも全員に挨拶していたり、物腰が柔らかかったりするのを見ると、自分もそういう人になりたいなって。それに現場の雰囲気がいい方が絶対いい写真が撮れるんです」。
学生のときはとにかくずっと撮っていた。 あの頃とずっと戦っている気がする。 |
ー花盛さんが思う、フォトグラファーになるのに大切なことや向いてる人は?
「人の意見を聞ける人かな。企画の内容や、クライアントさんの『こういうイメージで撮りたいです』という希望を汲み取って撮るのが商業カメラマンのお仕事。だから自分の撮りたいものだけ考えていては成り立たないんです。好きな写真を撮るのであれば、今の時代誰でもできるから、相手の意図を聞いてそれを写真で表現できることが、フォトグラファーとして大切だと思います」。
ー学生の時の経験が今に活かされていることはありますか?
「とにかくたくさん撮ること! 学生時代は、誰よりも写真を撮っていた!と自信を持って言えるくらいには努力していました。常にカメラを3台くらい持ち歩いて毎日のように撮り続けていましたね。今も学生時代の自分とずっと戦っている気がします。あの頃くらい楽しんで撮りたいとか、写真に対する情熱そのものとか。常にあのときの写真よりもいいものを撮り続けたいという気持ちでいます」。
これからも写真を通して 人の人生と向き合っていきたい。 |
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ー今後の夢はなんですか?
「写真館を開くのが夢です。ニューボーンから遺影まで撮る人になりたい。誰かを撮っているときって、一対一の話し合いというか。その人の可愛さとか綺麗さをちゃんと撮れたなって思う瞬間は楽しいし、『あ、今心を開いてくれた!』って分かる瞬間も嬉しい。一般の方を撮ることで自分の原点に立ち返ることができるので、これからもずっと人を撮り続けていきたいですね」。
ー将来を考える読者へ向けてメッセージをお願いします
「何かをやりたいと思う過程の中で、諦めそうになるときが絶対にあると思います。でもすぐ諦めるなんて言わないで、もうちょっとだけ頑張ってみてほしい! やりたいことが見つからない子は、簡単な道ばかりじゃなくて、今までの自分選ばなかったことをやってみるのもありじゃないかなと思います。私は何かをやりたいと思ったときの行動力がすごいんですよ。高校生になるとき、ただ行きたいという理由でアメリカ留学を決めたり。過去には、好きなアーティストさんのミュージックビデオを自分で作って事務所に送ってみたりしたことも(笑)。それから写真の撮影現場で、こっそり動画を撮って編集して納品までしたことがあって。なんと、次の動画もお願いって頼んでもらえるきっかけになりました! きっと、自分から動くことで何かしら起こるはずですよ!」。
撮影/渡邉まり子
構成・文/平木彩夏