【憧れの職業密着】モノ作りを通じて世界を変える! ブランドマネージャー横山優里さんに密着

様々な職業で働く女性たちのお仕事にクローズアップして、“なりたい自分”に近づくヒントをもらう連載企画。今回は、世界で活躍するブランドマネージャーをピックアップ。カンボジア発のライフスタイルブランド「SALASUSU(サラスースー)」を立ち上げた、横山優里さんにお仕事の魅力についてたっぷりお話を聞いてきました。


ブランドマネージャー・横山優里さん

 

Profile 

Name : 横山優里

Old : 31

Period:3年目(※)

Brand:SALASUSU

(※)ブランドマネージャー歴は、2019年9月時点。

大学卒業後、素材メーカーにて生産管理の仕事を約3年間経験。“作り手と消費者が幸せになれるモノ作りの現場で働きたい”、学生時代から抱いていた“国際協力に携わる仕事がしたい”という想いから会社を退社。その後、認定NPO法人かものはしプロジェクトに参画し、2016年、SALASUSUを立ち上げる。カンボジアの女性が心を込めて手作りしたアイテムを日本中に広めるため、ブランドマネージャーとして活躍中。

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モノ作りを通じてヒト作りをする
カンボジア発のライフスタイルブランド

―『SALASUSU』とはどんなブランドですか?

「カンボジア発のライフスタイルブランドです。小さな農村にある工房で、約65名の女性が一つ一つ心込めてバッグや雑貨を作っています。SALASUSUではモノ作りを通じ、カンボジアの女性たちの心の成長、前向きに生きていくためのサポートをしています。作り手の女性たちは経済的、家庭的に困難な背景を抱えており、小学校も通えず、ミシンはもちろんハサミさえ使ったことのない方がほとんど。初めての経験にうまくいかず、心が折れて工房に来られなくなってしまう方も多くいます。そんなときはその方のことを見放すのではなく、工房でのモノ作りを楽しんでもらえるようしっかりと話し合います。そうやって困難なことに一緒に向き合い、乗り越えることで“やればできるんだ”と実感してほしい。そして、自分に自信を持ってもらい、色々なことに挑戦する人生を歩んでほしいと思っています」。

―どうしてブランドを立ち上げようと思ったのですか?「中高生の頃、発展途上国の生活の様子がテレビで流れていました。その映像を見て、全く違う環境で暮らしている人が世界中にたくさんいることを知り、何か自分にできることはないのかと考え始めました。また、黒柳徹子さんやオードリー・ヘップバーンが大好きで、その人たちの本を読んだときに本業の傍ら、世界中の貧しい子供たちのために活動している姿に憧れを抱き、私も同じような働き方をしたいと思ったんです。密かにそんな憧れを抱きながら、大学卒業後はもともと興味のあったモノ作りに関わる仕事をしようと、素材メーカーで生産管理の道へと進みました。でも実際に働いてみると、日々ジレンマを感じるようになったんです。モノ作りの最先端で働いている中で、大量生産大量消費の現代、せっかく作ってもお客さんの手に届かず捨てられてしまうサイクルや作り手が疲弊しながら働いている姿を見て、虚しさや悲しさを覚えました。本来のモノ作りって、作り手も買い手もハッピーでなければいけないと思うんです。それが成り立っていない世界は、私にとって居心地が良くありませんでした。だから、作り手と買い手がお互いハッピーになれるモノ作りのサイクル、そして念願だった国際協力もできるブランドを作ろうと決めました」。

―その後、ブランドを立ち上げるためにどのようなことをされたのですか?
「素材メーカーを辞めたあと、興味があった国際協力の情報を集め、様々なボランティア活動に参加しました。活動に参加する中で一番活動内容に惹かれた、認定NPO法人かものはしプロジェクトで働くことにしました。かものはしプロジェクトでは当時、SALASUSUの前身となるブランドを運営し、カンボジアの工房で観光客に向けた雑貨を作り、販売していました。実際に現地の女性たちが心を込めて一生懸命作っている姿を見たときに、“彼女たちの作った商品をカンボジアだけでなく日本でも広めたい”と思いました。そこで、日本の方にも愛されるブランドへと成長させるため、長年愛用していただけるようなシンプルなデザインへと一新し、ブランド名をカンボジア語で「学校」という意味の“SALA”、「頑張って」という意味の“SUSU”を掛け合わせたSALASUSUへと改めました。そして、かものはしプロジェクトから独立し、新法人SALASUSUとして仲間とともに新たな挑戦へとスタートを切りました」。

―横山さんが現在行っている日本とカンボジアでのお仕事を教えてください

「日本では、SALASUSUをより多くの方に知ってもらうためのPR活動、販売経路を広げるための営業、商品開発のサポート、ブランドを応援してくれている方達に向けたイベント企画など業務は多岐に渡ります。様々な業務の中でブランドのイメージ・世界観が一貫して伝わるように気を付けています。カンボジアでは、日本での販売実績やお客様の声を現地スタッフに共有します。工房で作り手の女性たちが一生懸命働いている姿を見ると、“彼女たちが作った商品をもっと多くの人に届けるために頑張ろう!”という気持ちにさせてくれます」。

作り手と買い手がハッピーな
モノ作りのサイクルを築くことが私の使命

―横山さんがブランドマネージャーとして働く上で大切にしていることは?
「“どうしてこのブランドを立ち上げたのか”という初心を大切にしています。普段仕事をしていると忙しさや売り上げに翻弄され、ブランドを立ち上げた本来の意味を忘れてしまうことがあります。このブランドを立ち上げた原点には、作り手と買い手のみんながハッピーになれるモノ作りのサイクルを作りたい。そして、そのサイクルを通じ、この世の中全体をもっとハッピーにしたかったんです。どんなときも、この想いを忘れずに行動することを大切にしています」。

―この仕事のどんなところにやりがいを感じますか?

「SALASUSUでは商品を購入いただいた方に工房見学ができるチケットをプレゼントしています。うちの工房には、年間2000人の方に見学に来ていただいており、中にはこのチケットを持ってきてくれる方もいます。SALASUSUの想いに共感してくれた方たちが実際にカンボジアに来てくれて作り手と対面した瞬間、“私が作りたかったモノ作りのサイクルが出来ている”と感じられます。また、『作り手の人に会えて良かった』『実際に作っているところを見ることで商品により愛着が沸きました』というお声を聞くと“頑張ってきてよかった”と心が温まります」。

 

働く女性たちのポジティブな言葉がパワーになる

―仕事を頑張れる原動力はなんですか?

「『自分が作った商品に誇りを持っているから、もっと世界中の色んな人たちに届けたい!』『見学に来た方たちが、自分の作った商品を目の前で購入してくれると嬉しいし、やりがいを感じる!』など工房で働く女性たちのポジティブな声が何よりも嬉しいです。その言葉が私にパワーを与えてくれます。また、作り手の女性たちが“私たちは世界中の方たちが喜んでくれる商品を作っている”と誇りを持って働いている姿を見ると、このブランドを作って良かったと心から思います」。

―失敗したとき立ち直るコツはありますか?
「『すべては実験だと思えばいい。やったことに対して学びがあればすべてOK!』という言葉に何度も救われました。初めの頃はブランドを広める活動が上手くいかず、焦る気持ちや自己嫌悪を感じる時期がありました。そのときは、失敗したらどうしようという不安な気持ちが大きく、新しいことに挑戦できずにいました。そのとき相談した人生の先輩にこの言葉を頂き、全部実験だからとりあえず気楽にやってみよう。上手く行かなかったらそこから何を学んで、次にどう生かすかしっかり考えて行動できれば良いのか!と気持ちが軽くなりました。今も、何かに挑戦するときはこの言葉を思い出しています」。

 

こだわりはカンボジアと作り手が身近に感じられる商品作り

―SALASUSUの商品の特徴はなんですか?

★妥協しない品質チェック
★カンボジア特産“い草”を使用

「商品のクオリティには一切妥協しません! 新商品が出たばかりの頃は品質が安定せず、日本に送られてきた商品の半分以上が縫い目が曲がっていたり、ポケットが斜めだったりということも多々あります。日本で販売できないものは工房へ送り返して、どこを改善してほしいのか要望を伝えます。心は痛みますが、妥協してしまうと“これでいいんだ”という甘えが生まれ、全体のクオリティが下がってしまいます。最初は作り手によってまだらだったクオリティが、作り始めて2か月くらい経つと目で見て明らかなほどに上達しているんです! そういう成長を見るのがすごく嬉しいですね。

ほとんどの商品に、カンボジアの特産物である“い草”を使用しています。い草を使用することでカンボジアらしさや温かみのある商品に仕上がります」。

★作り手が分かるネームスタンプ
★工房見学できるチケット

「商品一つ一つに作り手のネームスタンプが押してあり、誰が作ったのか分かるようになっています。ネームスタンプを付けることで作り手には商品に誇りを、お客様には商品に愛着を持ってもらいたいという想いで始めました。

このチケットは工房で働く彼女たちに会いに来てほしいという気持ちから生まれました。工房で働いている女性たちは家族や経済面などで苦労していますが、家族といること、今感じる幸せをちゃんと大切に受け止めて幸せに生きている印象を受けます。そんな彼女たちの姿を見ていると、逆にパワーをもらったり、生きるうえで何が大切かを教えられてるような気がします。そんな彼女たちの魅力も工房に来て感じていただきたいです!」

 

カンボジアの工房、作り手の存在が
感じられるお店を日本に開きたい

ー今後の夢はありますか?「日本でSALASUSUの実店舗を構えることです。カンボジアの工房の雰囲気や作り手の存在を身近に感じられるお店を作りたいですね! いつか彼女たちも日本のお店に来て、お客様と交流してほしいです! また、彼女たちによりモノ作りの楽しさを感じてほしいし、彼女たちがもっと生き生き働けるように、今よりもっとデザイン力や技術力を高めて、たくさんの人に手に取ってもらえる商品を作りたいです」。

 

自分の感覚を大切にして人生を歩んでほしい

ー将来を考える読者に向けてメッセージをお願いします

「何かに出会ったとき、挑戦したとき、観たときに感じた“楽しい・好き/楽しくない・嫌い”という直感を大切にしてほしいです。好き、楽しいなどポジティブな感覚が働いたときは、そのことについて深く学んでください。逆にネガティブな感覚が働いたときは、自分が大切にしたい価値観とのズレがあるということだから、その感覚も大切に「どうして自分はそう感じるのか?」を問いかけてみると良いと思います。今、やりたいことが見つからなくても大丈夫! 私もやりたいことを自信をもって言葉にできるようになったのは、この1、2年です。大人でさえやりたいことが分からないし、急に変わることもあります。なので、焦らず自分の感覚を大切に生きていてください。するといつか、その時々に感じた感情が繋がってやりたいことを見つけられる日が来ると思います」。

 

【撮影協力】
「カフェロストロ
住所:東京都渋谷区富ヶ谷1-14-20 サウスピア 1F
営業時間 :8:00~21:00

 

 

撮影/渡邉まり子
構成・文/藤木愛