自分の“好きなこと”を極めて輝いている人にクローズアップする、新企画「キニナルあの子」。7月の2人目は、東欧・ジョージアで暮らしながら、アイシングクッキーアーティストとして活動しているおなかいたいさんにインタビュー! 作品のこだわりや今後の夢についてたっぷり教えてもらいました♡
\7月の「キニナルあの子」No.2/
キュートすぎる世界観にファン続出♡ 映画や絵画モチーフのアイシングクッキーを作る おなかいたいさんって? |
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● P R O F I L E ● N a m e : おなかいたい |
2014年からアイシングクッキーの制作を開始。映画や絵画をモチーフにした立体感たっぷりのリアルなデザインと、作品集のようなオシャレなInstagramが人気で、ワークショップが開催されると全国からファンが殺到。2020年からは拠点を欧州・ジョージアへ移し、浮世絵などの日本文化をモチーフにしたクッキーの制作も始める。クッキーを通してジョージアと日本の架け橋を目指す、今注目のクッキーアーティスト。 |
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B A C K G R O U N D 彼の誕生日サプライズ用に挑戦してから アイシングクッキー作りの虜に♡ |
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_アイシングクッキーを作り始めたきっかけは?
「小さい頃から飛び出すカードを作るなど手先を使うことが好きで、学生時代は美大に通っていました。美大でデザインを学んだ後、アパレル、パン屋、新幹線の輸送の仕事など面白そうと思った仕事を転々とし、アイシングクッキーを始めたのは2014年頃。今の主人とお付き合いしていたとき、誕生日にサプライズをしたくてケーキのデコレーション用に彼の好きなビートルズのアイシングクッキーを作ったのがきっかけです。アイシングクッキーは一度も作ったことがなかったし、当時はYouTubeも今ほど浸透していなかったので、ネットで調べて見よう見まねで挑戦…! 一見すごく難しそうだけどやってみたら思ったより簡単だったのと、塗り絵のようなアイシングの作業にドハマリし、趣味で週末に作るようになりました。数年前に友人のイラストレーター(@youmi.chen)とコラボしたファンタスティック・ビーストの作品がTwitterでバズり、多くの人に注目していただけるようになりました」。
_クッキーアーティストとしてどんな活動をしていますか?
「日本にいたときはフォロワーの方や知人から依頼を受けてオーダーメイドで制作したり、パン屋さんや雑貨屋さんにクッキーを置いていただいたりしていました。あとは、初心者でもできるようなアイシングクッキーのワークショップを開催していました。料理人をしている主人の仕事の都合で現在はジョージアという国に住んでいるのですが、主人の手伝いでデザートに添えるアイシングクッキーを作ったりしています。『おなかいたい』という名前は、とにかくお腹が弱いことが理由で付けたんです…(笑)。パッと付けた名前なのですが、キャッチーで覚えてもらいやすいのでなかなか気に入っています!」。
W O R K まるで本物のアート作品!? “再現性”を追求した「半立体クッキー」 |
_どんな作品を中心に作っていますか?
「自分が一番好きでワクワクするものが映画なので、映画をモチーフにした作品が主です。ゴッホの映画に感銘を受けてからは、絵画モチーフにも挑戦中! ただ、ジャンルを縛ってしまうと嫌になってしまう性格なので、その時々に感動したものや心動かされたモノを作っていきたいなと思っています。私の作品は題材を模写して作ることが多いので、“再現性”を意識しています。アイシングを重ねて凹凸感を出したり、何色もの色を使って奥行きを出すのがこだわり。まるで本物のポスターや作品を見ているかのようなリアルさを追求しています」。
\こだわりたっぷりアイテム1/
『IT/イット “それ”が見えたら、終わり』の映画クッキー 「ピエロが飛び出して見えるようにアイシングを重ねて立体感を出すことを意識! 凹凸を作ることで迫力がアップして、より不気味な印象になりますよね。アイシングが完全に固まる前の半生の状態で叩いておでこの部分にひびを作るなど、ディテールもポイント!」。 |
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\こだわりたっぷりアイテム2/
グスタフ・クリムト『接吻』絵画クッキー 「とにかく色をふんだんに使って、絵画の再現性を重視。細部の色までこだわったので全部で30色以上使いました! 腕の部分は少しぷっくりさせて奥行き感も演出。ベースのイエローはグラデーションにして、リアルさをとことん追求しました♪」。 |
_デザインの参考にしているものは?
「日々チェックしているのがPinterest。気になった映画やアート作品がイラストに起こされていることがあるので、デザインのヒントがたくさん転がっています。あとは、映画鑑賞。日本では映画館で月3〜4本ほど、家でも多い日には3本見ていました。舞台や美術などの芸術や、散歩で見つけたお花からインスピレーションを受けることもあります。日常で心に残るものから影響されることが多いです」。
_活動をしていて嬉しかったことは?
「ファンの方やクリエイターなどたくさんの素敵な人との繋がりが増えたことがとにかく嬉しい。ワークショップを都内で開催したときにも、遠方からわざわざ足を運んでくださった方がいて本当に感動しました! 『おなかいたいさんの作品を真似して家で作ってみました』というメッセージをいただけることも幸せです。作品が自分だけで完結せず、誰かの何かに繋がっていると思うととてもやりがいを感じます」。
I N S T A G R A M 1つで見ても全体で見てもワクワク感溢れる こだわりのフィード作り |
_Instagramの発信のこだわりはありますか?
「これまで作ってきたクッキーを記録に残したいと思い、4年前にInstagramへ投稿し始めました。でも、ただ投稿するのではなく、パッと目を引くような“楽しさ”を意識。画像1枚で見ても面白いし、全体のフィードとしても作品集のような統一感が出るようにこだわっています。背景の色画用紙をセレクトするところからアプリでの文字入れまで、時間はかかるけれどどう見られるかをしっかり考えることで『見ていて楽しい!』という声をたくさんいただけるようになりました」。
L I F E I N G E O R G I A ジョージアへの移住が 新たな作品作りのインスピレーションに |
_ジョージアではどんな生活をしているのですか?
「主人が公邸料理人をしており、2020年12月からジョージアで暮らしています。会食の支度をする主人の傍らで、私も何か日本のおもてなしを伝えるお手伝いができればと思い、お食事のデザートに添える日本モチーフのアイシングクッキーを作っています。クッキーを少しプラスするだけでプレートがグッと華やかになるし、日本文化や季節感を分かりやすく取り入れることができるんです! 日本のモチーフは話のネタにもなるし、とにかくすごく喜んでくれるのでこちらも嬉しくなります」。
_ジョージアに引っ越したことで作品への変化はありましたか?
「日本を題材にしたクッキーが喜んでもらえるので、日本の絵画や伝統、文化のモチーフに興味を持つようになりました! 浮世絵は海外でも人気なので、最近は浮世絵をモチーフに作ることにハマっています。また、ジョージアは芸術鑑賞がリーズナブルで、安い席だと約500円からバレエが観られるんです! 生の芸術に触れる機会が増えたので、映画以外のアートにも刺激をたくさん受けています」。
G O A L クッキーを通じて日本との架け橋に! 個展やオリジナルデザインなど新たな挑戦をしていきたい |
_これからの目標はありますか?
「ジョージアには3年ほどいる予定なのですが、その間はクッキーを通して日本の文化を伝えるお手伝いがしたい。ジョージア語が話せないけれど何かを作るときって言葉はそれほど重要ではない気がするので、ここでもワークショップができたらいいなと思っています。日本へ帰国したら、これまでに制作した作品を展示した個展をやってみたい! そのために、過去に作ったクッキーは食べずに袋に入れて丁寧に保管しているんです。作品的には、新たな形やデザインに挑戦していきたいです。組み立て式のヘクセンハウスを活用した立体クッキーを作ったり、実際にタイヤが動かせる乗り物クッキーなど他にないような面白い作品を生み出したい。夢に向かって活動しつつも、私のファンの方は映画好きが多いので、そこをメインに引き続きInstagramで発信していく予定です」。
構成・文/家田柚香