モデルたちをよく知るカメラマンが、彼女たちの心の内をのぞくインタビュー連載「それでね」。
第3回目のゲストは村田倫子。
普段なかなか語らないモデルになるまでのこと。そしてモデルとして活動する中で見つけた“夢”とは…?
変わってたかも
子どもの頃は人前に出るのが苦手でした。
幼稚園のお遊戯会でも「眠れる森の美女」で他の子たちは
お姫様役とか目立つ役になりたがるのに私はイバラの役を選んだりして。
お母さんは残念がってた(笑)。
原宿から
中学生のとき、お母さんと原宿に遊びに行ったら
タレント事務所にスカウトされたんです。
お母さんが「地元にいたらこんな経験もできないから、やってみたら」
と言ってくれて、やってみることに。
それで、あるCMにちょこっとだけ脇役で出演したんですが、実家が田舎だからちょい役でもすぐバレちゃって……。
友達や先輩、ご近所さんにまで声をかけられたり、いろいろ噂されたりして。
元々、人前に出るのが苦手だった上に
周りの反響が怖くなって、すぐ辞めちゃったんです。
小さな夢
高校生のときにファッションが好きになって
雑誌の『古着Mixガールズ』や『SEDA』 をよく読んでました。
ちょうど「森ガール」や「ストリートカジュアル」が流行った時代。
私は特にこだまますみちゃんが好きでした!
アンニュイでほっこりしたファッションが可愛いなぁって。
その中でも一番惹かれたのは、
ストリートから出てきたモデルさんたちが
いろんなことにチャレンジしてて楽しそうだったこと。
アパレルブランドとコラボしてお洋服を作ったりしていて、
普通の人ができないことを親近感のある人たちがやってるのが興味深くて。
いつか自分も作ってみたいなぁって思っていました。
サロンモデルって楽しい!
モデルを始めたきっかけは
高校生のときに原宿で美容室の方にサロンモデルに誘われたこと。
それまで高校もすっぴんで行ってたし、化粧もあまりしたことがなくって。
お小遣いで1000円カットに行ってたほど、興味がなかったんです(笑)。
でも、プロに髪もメイクもちゃんとやってもらって、
綺麗にしてもらうことが楽しすぎて!!!
何も知らなかった自分が、プロの手で変わっていくことに
ワクワクが止まりませんでした。
読者モデルになって
大学に入って、サロンモデルをちょこちょこやっているうちに、雑誌のスナップ撮影の依頼も少しずつ来るようになりました。
merから声をかけてもらったのもこの頃です。
撮影現場に行くと、美容師さんたちがすごくオシャレだったり、
誌面で見ていた先輩モデルさんたちが服を素敵に着こなしていたり、その場にいるだけでとても刺激的で。
人前に出ることが苦手だったのに、
どんどん”楽しい”に変わっていった時期でした。
バイト先の仲間にもすごく褒めてもらって勇気にも繋がってたのかもしれません。
モノを生み出す楽しさ
実は今でも、撮影で撮られることに緊張感があります。
常に「大丈夫かな……」「ちゃんとできてるかな……」って不安で仕方ない。
100%できた!って自信を持てたことはまだないですね。
でも、服づくりに関しては120%の想いで
「これ良いでしょ!」「可愛いでしょ!」ってアピールできちゃうんです。
学生のとき初めてやらせてもらったコラボ企画で
レイカズンさんと「羊のニット」を作ったんですが、
できあがったときは今までにないほど嬉しくって。
そのときのことが忘れられなくて、今まであまり将来の夢がなかった自分に、
「やりたい!」という衝動が生まれた瞬間でした。
それで就活はせず、モノを作ったり企画を考えるチャンスがあるモデルの仕事を続けていくことを決めたんです。
これからの自分
今後は、モデル以外のことでも
自分を表現していくことにチャレンジしていきたいので、
文章を書く仕事や、アクセサリーや洋服のプロデュースもやっていきたいです。
意外とデスクワークも得意なんですよ(笑)。
そのためにも、今は自分のことを知ってもらう
大事な時期だと思っています。
経験がないこともまだまだたくさんあるから、
今は全部不安ですし、自信もまったくないんですけど、
好きなことにずっと携わっていけたら幸せですね。
写真・インタビュー/伊藤大作(The VOICE)
モデル/村田倫子