注目クリエイターvol.8 イラストレーター・Jennykaori

古着・ハンドメイド・リメイクが大好きな編集Oが、オススメのクリエイターを紹介する連載。
今回は、クールなピンクのイラストが注目を集めるイラストレーター・Jennykaori(ジェニーカオリ)さんにお話を聞きました。

 

イラストレーター・Jennykaoriさん

名前 Jennykaori(ジェニーカオリ)
作っているもの イラスト、イラストを用いたグッズ
経歴 6年
※2019年10月12日時点

 

『 Jennykaori 』

Jennykaoriの特徴といえば、ひと目見たら忘れないアイコニックな女の子のイラスト。着せ替え人形みたいな立ち姿には不思議な中毒性があり、モデル・インフルエンサーからも注目を集めています。
「その中でも一番人気なのはやっぱりイラスト。活版印刷の技術を活用したリソグラフも作ったりします。イラストをグラフィック化して手帳やアイフォンケース、ポーチなどのグッズも作って販売しています。包装にもしっかりこだわって、ブランドのタグも自分でデザインしているんですよ」。

 

_イラストレーターを始めたきっかけは?
「昔から絵を描くことが好きで、物心ついたときからずっと描いていました。
それから日本のアニメの大ファンになり、アニメーターになろうと専門学校に入学。ですが、自分のイラストの持ち味と、アニメーションで求められるスキルに限界を感じ、別の道に進むことに。その後デザインの仕事に就いたのですが、それでも絵はずっと描き続けていました。
本格的に作家名を付けて活動するようになったのは、イラストのコンペでグランプリを受賞したことです。それまではイラストレーターになりたいけど、どうしたらいいのかわからなかったんです。その後グランプリ受賞がきっかけで、お仕事をもらえるようになりました」。

 

_作家1本で活動されているんですか?
「イラストレーターとしての仕事のほか、グラフィック系の仕事もしています。
Jennykaoriとして名乗る前にデザイナーとして活動していたことを活かして、イラストに付随したデザイン業務、最近では企画案から企業と一緒に考えるディレクション業も少しずつではありますが任せてもらっています。企画段階から一緒に考えられるのでやりがいを感じますね」。

 

 

イラストレーターとしての活動について


_作家名の由来は?
「着せ替え人形のジェニーちゃんから私のイラストの作風が洋服を着せ替える人形っぽいので、その面と作家名がリンクしていたら良いなと思って付けました」。

 

_イラストのコンセプトはなんですか?
「求められる女の子の像って、清く正しくて可憐なイメージ。そのイメージって生きててちょっと堅苦しく感じてしまうんです。絵の中の女の子たちには、あえてやんちゃなことをやっていて欲しいなと思うんです。盛大に転んでいたり、だらけていたり…あえて今まで避けられていた描写やシーンを積極的に取り入れています。その型にはまらない部分に共感してくれる人が増えたらいいなっていつも思いながら描いています」。

_ジェニーさんならではの特徴はありますか?
「ピンクを多用しているところ! それも可愛いピンクではなくて、かっこいいピンク。
『ピンクを使っていれば可愛くなる』という既成概念を壊したいと常に思っています。
最近では、自分の好みの移り変わりに柔軟でいることにしています。好きなテイストや好きなものが変わらないことなんて絶対無いと思っていて。作品が変わっていく事へのマンネリや恐怖感がもともとあったけど、今ハマっているものをイラストに落とし込むのがとにかく楽しい! それに多少変化があった方が、イラストを見てくれている方たちも飽きないかなと思います。
今はminiSDをイラストに描き込むのがお気に入り(笑)」。

 

_イラストはどのように描かれていますか?

「スケッチブックに手描きをしたり、タブレットに描いたものをPCに取り込んで色付けしていきます。
いつも、鉛筆とペンタブのペンを一緒に持って作業しています!(笑)」。

 

_思い入れのある作品はどれですか?

「作ったものすべてに思い入れはあるけど、1番はこのスマホケースですね。
私の定番型である直立の女の子が描いてあります。これをたくさんの方が買ってくれて…Jennykaoriの名前が世に広まるきっかけになったと思います。
これがすごく嬉しくて、もっと仕事で活躍したい!と思うようになりました」。

 

_イラストレーターとして活動する中で大変だったことは?
「1つは仕事の依頼が重なってきたとき。仕事のコンディションと、体力がかみ合わないときが一番大変です。反対に、描くことについて辛いと思ったことがないのでそこは良かったなと思います。
もう1つは怒ってくれる人がいないこと。
客観的な意見を言ってもらえないと気付けないことがたくさんあるんですよね。いろんな人に見てもらうことで自分の世界を拡張していかないといけないなとつくづく思います」。

 

_デザインの参考にしているものはありますか?

「直に影響を受けたのは、デビッド・ラシャペルというアメリカのフォトグラファー! 絵面の鮮やかさと、ちょっとクセのある雰囲気がすごく好きなんです。フィオルッチや田中達之さんの作品集もお気に入りです!」。

 

これからについて

 

_イラストレーターを続けていく上で大事なことは?
「イラストと全く関係ないことも知ることが大事。私は経済学や社会学の本が大好きでよく読んでいます。絵だけにしか興味がない人って、私にとってはなんだか魅力的に見えないんです。
写真家で例えると、カメラに詳しいだけじゃなく、地理や地形にも詳しくて探求できる方が良い写真が撮れそうじゃないですか?
クリエイティブ全体に言えると思うんですが、他のことについての探求心ってすごく大切! 絵を描くことはあくまでもアウトプットなので、たくさんの知識を得ることで自分にとってすごく良いインプットになるし、より良い作品が作れると思っています」。

 

_ブランドとしての目標はありますか?
「短期的な目標は、イラストだけでなくそれに関わるすべてのディレクションをしたいことや、クリエイティブユニットを作ってみたい。
ありがたいことに、最近ではコラボカフェなどのディレクションのお仕事を少しずつですが任せてもらっています。もっとたくさん挑戦してみたいですね。それに自分とは違う能力を持った人と組んで面白いことができたらなと考えています。いろいろな人たちとコミュニケーションを取りながら一つの作品を作りたいです。

長期的な目標は、日本だけでなくワールドワイドに活躍することです。言葉が必要ないのもイラストの魅力だと思っています。国に関係なくたくさんの方に見てもらいたいですね」。

 

_最後に一言!
「クリエイターになるには、自分を信じることが必要だと思います。『これ作った私天才』ってハイになれるときの気分って大事。もちろん自分の作っているものに対するネガティブな気持ちもあるから、両方を上手にバランスを取っていけたら最高ですね!
あと、他人ばかりを頼るのはオススメしません。本気で向き合ってくれる人なんて本当に一握りだから、その誰かを待っているだけじゃダメなんです。私は昔から知ってくれている方が『私Jennykaoriが駆け出しだったころから知ってるんだ』と長年見てくれている事が誇りに繋がっています。
周りの人、知ってくれている方たちを自分のステップアップやキャリアをもっと楽しんでもらえたらな、という純粋な気持ちが行動を起こす勇気につながると思います。これからブランド始めたい人、何か作りたい人の参考になればと思います」。

 

お話を聞いてみて…

強い意志を持ち、まっすぐに進み続けるJennykaoriさん。たくさんの人の心をつかみ続ける作品の裏側に、女の子だってかっこいいものが好き。常にキレイでいる必要はなくて、素直に生きたらいいんだ!という強いメッセージを感じました。現代風刺画のようなちょっぴり毒っ気のあるテイストとカラフルな色使い、パンチが効いたデザインには、その想いの強さが良く表れています。
「かっこいいピンク」が世界に広がることを願っています!(編集O)

 

クリエイター情報

 

【jenny kaori(ジェニーカオリ)】

jenny kaori instagram:@jenny_kaori
jenny kaori Twitter:@jenny_kaori
web site:jennykaori

 

撮影/我妻慶一
構成・文/大西美音

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