注目クリエイターvol.7 絞り染め作家・清水美於奈さん

古着・ハンドメイド・リメイクが大好きな編集Oが、オススメのクリエイターを紹介する連載。
今回は、日本の伝統工芸・絞り染めを使ったアクセやバッグを作るブランド『MIONA SHIMIZU』のデザイナー・清水美於奈さんにお話を聞きました。

 

絞り染め作家・清水美於奈さん

名前 清水美於奈
年齢 22歳 ※2019年9月14日現在
作っているもの 絞り染めのアクセ・バッグ
ブランド歴 1年半
※2019年9月14日時点

『MIONA SHIMIZU』

shibori bag 17000円/MIONA SHIMIZU

「定番で作っているのは、絞り染めを使ったバッグやピアスなどのアクセサリー。絞り染めによってできるほど良いシワ感が、身に付けているだけでコーデをオシャレに見せてくれます!
このバッグは無地の布にプリントをし、その上から絞り染めをしたもの。作品はどれもたくさん試行錯誤しながら仕上げています!」。

 


_絞り染めを始めたきっかけは?
「初めて絞り染めに出会ったのは、高校生の頃。
テキスタイルについて学べる高校に通っていて、授業の一環で体験しました。その時は「技術の体験」としか思っていなかったのですが、進学した美術大学で空間作品を作るプロジェクトがあり、そこで何をやろうか考えているときに思い出したのが絞り染めでした。
なので、本格的に絞り染めをはじめたのは大学に入ってからですね」。

 

_ブランドはいつから始めましたか?
「大学4年生の時です。「new jewelry」というアクセサリーイベントに出展をしたことをきっかけに、本格的に作家活動をスタートしました。
今は大学を卒業して、アルバイトと掛け持ちしながら制作しています」。

 

ブランド「MIONA SHIMIZU」について

 

_絞り染めってどんなもの?

1つ1つ手作業で立体物を絞る、地道な作業。
「絞り染めにはいろいろな方法がありますが、一番身近な方法は
①立体物に記事を巻き付け、糸や輪ゴムで縛る。
②茹でる・蒸すなど、熱で形付け→染料で染め→乾燥させる
③絞っていた糸や輪ゴムを解き完成。
となります。生地の厚みや素材によってシワ感や染まり具合が変化するので、いろいろな素材で試してみることで新しい作品が生まれるんです!」。

 

 

_『MIONA SHIMIZU』というブランド名の由来は?
「自分の名前をブランド名にしました。
絞り染めは、最初に型を作ったものがそのまま形になります。私のお気に入りの素材を使って形にしているんだから、何か新しい名前を付けるより自分の名前が良いのではと考えました」。


_どのようなコンセプトで作っているの?
「ブランド全体のコンセプトは『アートを身に纏う』
大学では大きな美術作品を作ることが多かったのですが、そのアート作品を身に着けてみたい!と思うようになったんです。日本に昔からある手作業から生まれた工芸品を身に纏うことで、生活が豊かになったり、時の流れや空間など目に見えないものに意味を与えられるようなものを作りたいと常に思っています」。

 

_清水さんが作るアイテムの特徴は?

「オーガンジーという生地を使ったアイテムが多いことですね!
元々薄手で透け感のある素材なのですが、染めた時のクリアな生地感や絞りならではのシワが大好きです。同じオーガンジーを使っていても、作るアイテムによって厚みや色を変えているんですよ! それに生地によって染めたときの色の出方も違うので、毎回実験を重ねて調整しています」。

 

 

_思い入れのある作品は?

earring、pierce 7800円/MIONA SHIMIZU 

「この粒の小さいピアス・イヤリングです。
大きなアート作品を作っていた学生時代、身近なものを作りたい!と思って一番最初にデザインしたのがアクセサリーでした。写真は最新のピアス・イヤリングで最初の作品とは少し形が違いますが、ブランドを立ち上げた頃から作っているので思い入れがありますね」。

 

 

_デザインの参考にしているものはありますか?

「形の無いものを、形のあるものに変えることが好きです。
例えば泡。目には見えるけどすぐなくなってしまいますよね。プクプクっとした泡の一瞬を切り取ってピアスにしたりしています。
それに、街を歩いていても絞り染めのことが常に頭の中にあって、あれ絞れないかな…とつい考えていしまいます(笑)。
過去には石や豆、ビーズ、粘土、成形した発泡スチロールを絞り染めで使ったことがあります!」。

 

_絞り染めを始めて、大変だなと思ったことは?
「頭に描いたデザインがあっても、形にしようとすると思い通りにいかないことですね。平面の布を立体にしていく作業なので、ほぼ毎回うまくいかず悩みます。新しいものを作るときは、生地や染料等の組み合わせを変えたりして試行錯誤しています」。

 

 

これからについて

 

_ブランドを作り上げていく上で大事にしていることは?
「まだブランドを始めて間もないですが、常に手を動かして創作し続けることが一番大事だなと思っています。これがなかなか難しいのですが、どんな突然のチャンスにも対応できるように、いつでもベストな状態でいることを心がけています」。

 


_ブランドとしての夢や目標は?
「今は身に着けるものを中心に制作していますが、絞り染めを軸に幅広く活動したいです! エネルギーが伝わってくる体験型アートが大好きなので、会場いっぱいに作品を展示した空間デザインをしてみたいし、コートやトップスなど洋服への展開もしてみたいなと考えています」。

 

_最後に一言!
「考えるより先に手を動かすことが一番! 自分が好きだなと思ったこと・ものについてジャンルを絞って、その小さな範囲内で行動することが続けられるコツだと思います。少しずつ頑張ることで、自ずとチャンスがやってくるのではないかなと思っています。
どんな小さなことでも続けていくことが大事です!!」。

 

お話を聞いてみて…
左の白い生地を絞り染めすると、その横にある緑・オレンジのようになる。

「絞り染め」というと昔ながらの工芸品というイメージでしたが、清水さんの作品に出会ってその印象がガラッと変わりました。染め、絞りの技法は変わらないけど、デジタルプリントを取り入れたりモダンな色使いになっていたり… 今の時代に合ったオシャレなアイテムに変身させているところに新しさがあって素敵。
それに美術作品を身に着けてみたいという考えがなんだか新鮮ですよね。絵画などの色使いを参考にすることはあっても、それをファッションに落とし込むとは何とも芸術的。アートから見たファッションという新しい視点でますます多くの人の心を掴み続けていくはずです。(編集O)

 

ブランド情報

【MIONA SHIMIZU(みおな しみず)】
MIONA SHIMIZU Instagram:@mionashibori
オンラインショップ:MIONA SHIMIZU

 

撮影/渡邉まり子
構成・文/大西美音

※掲載したアイテムはすべて税抜価格となっております。

Instagram